ご予約はこちら

共立産婦人科医院 公式Twitter 共立産婦人科医院 公式Instagram 共立産婦人科医院 スタッフブログ

治療方針 treatment-plan

治療方針

不妊治療の原因を調査したら具体的な治療を行っていきます。
共立産婦人科で行う主な不妊治療の治療について「保険診療」と「自費診療」に分けてご説明いたします。

保険診療の治療方針

一般不妊治療

タイミング療法

体温計とグラフのイメージ

避妊をしていないのになかなか妊娠しない、基礎体温をつけて自分たちで性交渉を行っているけれどうまくいかない方々のサポートをいたします。

経腟超音波検査で排卵日を予測し、最も妊娠しやすい日をおすすめいたします。 排卵がうまくいかない場合などには内服薬や注射などで排卵のサポートが可能です。

ご夫婦ともに検査に異常がなく、これまで不妊治療歴がない、または短い場合は、まずタイミング治療から開始します。しっかりと適切な治療を受け、妊娠を目指しましょう。

完全自然排卵周期

完全自然排卵周期は最も自然な方法です。 排卵日を正確に特定するために超音波で卵胞の大きさや子宮内膜厚を計測します。

卵胞チェック超音波 1,100円~
LHチェッカー 500円~
おもな排卵誘発

軽度の排卵障害や黄体機能不全の改善が期待できます。

  • クロミッド(1日1錠/5日間)
  • レトロゾール(アロマターゼ阻害剤)
  • FSH注射/HMG注射
LHトリガー

成熟された卵胞を排卵させる目的で使用されます。

  • hCG注射
  • 点鼻薬(ブセレリン)
黄体ホルモン補充

排卵後の黄体機能の低下を補い、妊娠のサポートをします。

  • デュファストン(1日3錠/10日間)
  • ルティナス膣錠(1日3錠)

人工授精

人工授精のイメージ

「仕事が忙しく夫婦生活が持てない。」
「勃起するけれどうまく最後まで性交渉ができない。」
「精液検査で精子に問題があると言われた。」
「タイミング指導を何度も受けたが妊娠しない。」
などのお悩みの方に人工授精を提案いたします。

人工授精の流れ

人工授精は、排卵の時期に合わせて、調整した精子を直接子宮内に注入する方法です。

  1. 卵胞チェック超音波にて排卵前日~当日に人工授精日が決定します。
  2. 専用の容器に精子を採取します。
  3. 精子の雑菌や動きの悪い精子を取り除くために洗浄しさらに濃縮させる調整を行います。
  4. 調整が完了した精液を子宮内に注入し、卵子と精子が出会う確率を高めます。

治療における痛みはほとんどないため、身体への負担が少なく行えます。
実際に注入された精子が卵子と出会い、受精、着床、妊娠に至るまでの過程は自然な妊娠と同じですので自然に近い方法で妊娠を目指すことが可能です。

人工授精で妊娠される方の約90%は4~6回目までに成功するため、この回数を目安に体外受精へのステップアップすることが有効です。

生殖補助医療

体外受精

体外受精のイメージ

体外受精では、妊娠につながる良い卵子を発育させることが重要です。一度に良好な卵子を育てるためには、卵巣刺激方法の選択が重要となります。
ここでは卵巣刺激方法について紹介をします。

卵巣刺激方法には、「完全自然周期法」、「低刺激法」、「中刺激法」、「高刺激法」などがあります。使用する薬剤の種類や使用するタイミングにより効果は変わります。医師のカウンセリングにてホルモンの状況や卵巣年齢(卵巣予備能力)などを加味して、お一人お一人のお体に合う最適なオーダーメイドの刺激方法を提案いたします。
また、もしも患者様に希望の刺激方法があるときは医師にお伝え下さい。ご希望に沿った刺激方法のご提案をさせていただきます。

体外受精―胚移植の保険適用ー

2022年春、体外受精は保険診療に適用されました。
年齢により回数制限が設定されており、治療開始が40歳未満は胚移植を6回まで、40歳以上43歳未満は胚移植が3回まで保険適応となります。

治療中の心理的支援―生殖心理カウンセリングー

体外受精は、一般不妊治療と比べて通院の負担や連日の注射、1周期で必ずしも妊娠成立に結びつかないことなどによる身体的・精神的負担が大きい傾向があります。
また治療を続けていく中で仕事や家庭との両立やご夫婦間の治療へのスタンスの違いといった悩みやストレスを抱える方が多くいらっしゃいます。

当院では患者様の治療継続のサポートとして心理的支援にも力を入れており、臨床心理士による生殖心理カウンセリングをご用意しております。ぜひお気軽にスタッフにお申し付けください。

卵巣刺激方法
【①完全自然周期法】

卵胞発育を刺激する薬剤を使用せず、ご自身の自然の力による卵胞発育をモニターする方法です。

適応

  • 過排卵刺激用薬剤(FSH、hMGなど)アレルギーがある方
  • 過排卵刺激用薬剤(FSH、hMGなど)を使用しても卵巣が反応せず卵胞が発育しない方
  • ホルモン値の上昇により卵の変性が起きてしまう方

メリット

  • 連続採卵が実施可能
  • 連日の自己注射が不要で身体への負担が少ない
  • 費用が安い

デメリット

  • 自然発育する卵胞は通常1つであり、獲得できる卵子は1個であることが一般的です。採卵後の受精処置・胚発育がうまく進まず移植に適した良好胚を獲得できない場合があります。
  • 患者様のホルモン状態に治療成績が依存するので、ホルモンバランスが悪い場合、卵胞発育を認めない場合があります。
  • 月経不順の場合には行うことが難しい。

スケジュール例

横にスクロールしてご覧いただけます

スケジュールの画像
【②クロミフェン/フェマーラ(アロマターゼ阻害薬)使用の卵巣刺激法(低刺激法)】

クロミッド®️(クロミフェン)/フェマーラ(アロマターゼ阻害薬)を月経3日目頃より内服する方法となります。
タイミング治療や人工授精の場合はよく月経5-7日目より内服した方も多いのではないかと思います。
体外受精にて本薬剤を使用する場合、月経3日目までに内服を始めることが多いのが一般的です。

適応

  • PCOS患者様
  • できるだけ身体的負担は軽くしたいが2-3個卵子が取りたい

メリット

  • 内服薬を用いるため、注射日数を減らすことができる
  • 卵胞発育作用が注射製剤よりも弱いため、OHSSなどのリスク下げることができる
  • 連続した周期に採卵が可能
  • 費用が安い

デメリット

  • (クロミッド周期の場合)子宮内膜を薄くする作用があるため、新鮮胚移植でできない場合がある
  • 獲得卵子数が少なく、胚移植に適した良好胚が獲得できない可能性がある

スケジュール例

横にスクロールしてご覧いただけます

スケジュールの画像
<高刺激法>
【③ショート法 GnRHアゴニスト周期】

GnRHアゴニスト製剤を使用し下垂体ホルモンの自己分泌促進作用を利用しながら卵巣刺激注射を併用する方法です。

適応

  • 卵巣予備能力の低い方
  • 40歳以上の方

メリット

  • 月経開始直後から卵胞を育てるホルモンを上昇させるため発育卵胞数を増やし一度に多数の卵子の獲得が期待できる
  • 下垂体ホルモンの自己分泌作用を促進するため、使用するFSH製剤を少なくなる

デメリット

  • ホルモンバランスが高い状態になるため、卵子の質に影響を受ける場合がある

スケジュール例

横にスクロールしてご覧いただけます

スケジュールの画像
<高刺激法>
【④ロング法】

月経開始前からGnRHアゴニスト製剤を使用し、下垂体ホルモンの自己分泌を完全に抑制した状態から排卵誘発剤を開始する方法です。

メリット

  • 卵胞発育が均一になりやすい
  • 排卵を促すホルモンの上昇を抑制するため、予期せぬ採卵前の排卵の可能性を下げられる
  • 採卵日のコントロールがつきやすい

デメリット

  • 下垂体ホルモンの分泌を完全に抑制するため、使用するFSH製剤の量が多くなる
  • 卵巣予備能力の低い方に実施すると卵胞発育を認めない場合がある
  • 卵子を成熟させる注射はhCG製剤となるために卵巣過剰刺激症候群を発症するリスクがある

スケジュール例

横にスクロールしてご覧いただけます

スケジュールの画像
【⑤アンタゴニスト法】

月経開始後より排卵誘発剤を開始する方法です。卵胞が発育すると、下垂体よりLHが上昇します。排卵抑制を行わず、刺激を継続するとLHサージが起こり排卵します。このLHサージを抑制し採卵を行うために、アンタゴニスト製剤を使用する方法です。

メリット

  • ロング法と比較し、排卵誘発剤の使用量を抑えることが可能
  • 排卵コントロールが比較的容易

デメリット

  • LHホルモンコントロールが主なため、採血しホルモンバランスを確認するため、通院回数多めとなる
  • 排卵誘発によって卵胞が大小不同に発育した場合、未熟の卵胞が取れる可能性が高い

スケジュール例

横にスクロールしてご覧いただけます

スケジュールの画像
【⑥PPOS法】

卵巣刺激の際に黄体ホルモン剤を併用する方法です。黄体ホルモンは排卵後の黄体から分泌されるホルモンであり、子宮内膜の着床環境を調整する妊娠成立に必要不可欠なホルモンと同時に排卵抑制効果があります。当院ではデュファストン錠を使用します。一般的に、月経開始2~3日目からFSH/HMGを連日注射し卵胞を育てます。 注射開始日からデュファストンの内服が始まります。

メリット

  • 治療開始前の準備期間が必須でないため、治療期間も短い
  • アンタゴニスト製剤に比べてデュファストン錠は安価なため費用が抑えられる
  • アンタゴニスト製剤の長期投与による胚質低下を防ぐことができる
  • OHSSのリスクがある場合は卵子成熟をhCGを用いずにアゴニスト点鼻薬で行うことができる
  • 採卵後にアンタゴニストを使用すればエストロゲンを抑制できるためOHSSを予防できる
  • アンタゴニスト法と比較して通院スケジュールが組みやすい

デメリット

  • デュファストン錠を使用するため、高温期のホルモン状態になってしまい新鮮胚移植ができない
  • アンタゴニスト法より1~2日刺激日数が長くなる傾向がある

スケジュール例

横にスクロールしてご覧いただけます

スケジュールの画像

採卵

卵巣刺激を行い卵が育ってくると、卵胞サイズやホルモン値を総合的に判断し、採卵日を決定します。
採卵は経腟から卵を採取しますので、お腹に傷がつくなどということは一切ありません。

方法

経腟超音波の横にガイドが付いており、そこに針を通し超音波で卵巣内卵子の位置を確認しながら針を刺し卵を採取します。
針を刺す際に痛みが生じるため、採卵時は麻酔の使用を希望により決めることができます。

採卵のイメージ
合併症

麻酔による合併症: 局所麻酔アレルギー(嘔気・嘔吐、呼吸抑制、血圧低下)
腟壁出血(8.6 - 18.1%)
腹腔内出血(0.35%):外科的止血術を要する頻度  0.12%
骨盤腹膜炎(0.3 - 0.6%):リスクファクター:骨盤腹膜 炎の既往、子宮内膜症

採卵の時に起こりうること
  • 採卵の前の段階ですでに排卵してしまっている
    ー年齢の高い方、自然に近い卵巣刺激を行った方に多い
    排卵を抑える工夫をするが、100%排卵を抑えることはできない
  • 卵胞液の中に卵子がなく、卵子獲得ができない
  • 成熟卵子が獲得できない

受精方法

受精方法は3通りあります。それぞれにメリットとデメリットがあり、また費用も異なります。
最終的な受精方法の決定は、採卵当日の卵子と当日使用予定の精子所見を確認した上で、医師の判断のもと決定されます。

横にスクロールしてご覧いただけます

受精方法名称 具体的方法 メリット デメリット
体外受精
(cIVF):媒精
卵子に精子を振りかける方法
(受精率 約70%)
より自然な状態での受精
(ストレスが少ない)
  • 受精障害の場合、受精率低下
  • 形態的な精子選別は不可能
  • 多精子受精が起こってしまう(約5%)
顕微授精
(ICSI)

凍結精子を使用する場合、
卵子に精子を直接注入する方法
(受精率 約80%)

適応:

  • 精子の数が非常に少ない場合
  • 運動率が極度に低い場合
  • 受精障害がある場合
  • 精子所見不良でも受精可能
  • 形態的な精子選別が可能
  • 針を刺すことの卵子へのストレス
※顕微授精を行っても受精しない場合があります。
※顕微授精が胎児の染色体異常や、奇形を増加させるという明らかな根拠は示されていませんが、
不測のリスクが存在する可能性をに否定することはできません。
スプリット 体外受精(cIVF)と顕微授精(ICSI)に分けて両方行う
※4つ以上卵子を獲得できた場合に考慮
  • ICSIで受精を確保しつつcIVFも試せる
  • 受精障害のためにキャンセル周期となるリスクを回避できる
  • 採卵数が多くないと、両方で試せない場合もある
  • ICSIを必ずしも必要としない可能性がある

培養方法

タイムラプス培養

タイムラプスエンブリオモニタリングシステムとは、胚にストレスを与えることなく、24時間継続して胚の発育過程の観察を高解像度タイムラプスを用いて行うことができる方法です。
胚を専用dishへ入れ、培養器に格納します。15分毎に胚の写真撮影を行い、その写真を連続再生することにより培養器に入れた期間の胚の様子を観察できます。(最大6日間) 胚の動画を培養終了後にお渡しできます。

メリット
  • 観察の都度、培養器の外の環境に胚を晒すことなく最小限のストレスで評価可能
    →胚盤胞到達率、良好胚盤胞率の向上が期待できる
  • 最終的な胚評価だけでなく、異常な分類や異常な成長速度の胚を見つけることが可能
  • タイムラプスによる詳細な評価を元にした移植胚の選択
    →流産率の低下が期待できる 
    ※移植胚の選択はオプションです。
デメリット
  • 培養代以外に追加費用がかかる
  • 結果報告までに3週間ほど時間を要する

注意事項

患者様の個人情報は、個人情報保護法及び当院の規約で取り扱います。
治療経過に関する情報は、個人が特定されない形での解析や、日本産科婦人科学会へ報告することがあります。

未熟卵子体外成熟培養

通常の場合、成熟卵に体外受精や顕微授精を行いますが、稀に未成熟卵しか得られないことがあります。
未成熟卵は体外受精や顕微授精を行ってもほとんど受精しません。そこで、未成熟卵には体外成熟培養(IVM)を行います。

※保険適用外の方法となりますので、本培養方法をご希望の場合は、採卵周期すべてが自費診療となります。

受精障害の補助医療

顕微授精(ICSI)を行っても受精が成立しない原因の一つに卵子活性化障害があり精子と卵子の融合によって引き起こされるカルシウムイオンの増加反応が不十分と考えられています。
卵子活性化障害が疑われる症例に実施する方法を卵子活性化処理法(カルシウムイオノフォア)といいます。

効果 受精障害の原因が卵子活性化障害にある場合に効果があります。しかし、実際には受精障害の原因は特定しにくく本法の効果は限定的になります。
適用 過去の採卵において、顕微授精(ICSI)を行っても受精しなかった場合
申込
期限
採卵周期の 月経1日目~5日目まで。
※期限までに申し込み用紙を看護師に提出してください。

着床障害の補助医療

高濃度ヒアルロン酸含有培養液

子宮内膜にはヒアルロン酸が存在し受精卵の着床を助けています。
ヒアルロン酸は粘着性のあるムコ多糖類で胚盤胞の着床を促進する効果と受精卵の保護効果を持つ生理的接着剤としての役割があります。

効果 胚盤胞の生存率を上昇させ、着床率を増加させることが確認されています。43歳以下で本法使用による妊娠率の上昇は平均で16%、流産率は平均で13%低下するとの報告があります。
適用 胚移植不成功例のある方、もしくは希望者
申込
期限
採卵周期の 月経1日目~5日目まで。
※期限までに申し込み用紙を看護師に提出してください。
アシステッドハッチング(孵化補助操作)

アシステッドハッチングとは、胚移植の前に胚の周りを覆っている透明帯という卵の殻にあたる部位を機械的方法やレーザーなどを用いて、菲薄化させたり穴を開け、透明帯から胚の脱出を助けて着床率を上げる方法です。

胚を凍結保存すると透明帯が固くなってしまうという報告があります。
また、女性の年齢が高くなるにつれ、透明帯が固くなるともいわれています。

そのような状況である場合、胚自身の力では孵化が行えず、着床ができなくなってしまう恐れがあるので、アシステッドハッチングを行うことで孵化をお手伝いしてあげます。

当院では、レーザーで透明帯を菲薄化もしくは開孔する方法を採用しています。

体外受精における至適着床時期判定検査(ERA・EMMA・ALICE)

ERA(子宮内膜着床能検査)は胚移植時期に子宮内膜を採取し遺伝子解析を行うことで、着床が可能な時期、つまり「着床受容期」を調べることができます。

ERAと同時に子宮内の着床に適した乳酸菌の割合を調べる検査(EMMA)、不妊症、不育症の原因となる慢性子宮内膜炎の細菌の有無を調べる検査(ALICE)も行えます。1回の検体採取で3項目を一緒に検査することも可能です。

※ERAは保険適用外の検査となります。

初期胚と胚盤胞

初期胚の評価

採卵後、受精した卵は1日目には2つの前核、2日目には2~4細胞、3日目には約8細胞に分裂していきます。
4日目には細胞分裂した沢山の細胞が1つにまとまり(桑実期胚)、5~6日目には胚盤胞に発育します。

受精卵の成長のイメージ
初期胚(分割期胚)

培養後1~3日後に胚が2~8つに細胞分裂したものを「初期胚(分割期胚)」といいます。

Veeck分類で評価します

胚の割球の形態とフラグメンテーションの割合によってグレード1~グレード5まで、5段階に分類しています。
フラグメンテーションとは胚の発生過程で割球の細胞質が小さく断片化したもののことで、この割合が多いほど胚の質が悪くなります。

※この時期の胚は不安定でGradeの変動が起こりやすい状態です。

初期胚の成長のイメージ
胚盤胞の評価

胚盤胞とは、胚盤胞腔ができ、内細胞塊(ICM)と栄養外胚葉(TE)が形成された胚を指します。
おおよそ培養5~6日目になります。

  • Gardner分類で評価します
  • 1つの数字と2つのアルファベットで分類します 
① ② ③ 例:5 A A

① 胚盤胞発育ステージ

  1. 初期胚盤胞(early) 胚盤胞腔が胚容積の半分未満
  2. 胚盤胞 胚盤胞腔が胚容積の半分以上
  3. 完全胚盤胞(full) 胚盤胞腔が完全に胚を満たす
  4. 拡張胚盤胞(expanded) 胚盤胞腔容積がさらに拡張し、透明帯が薄くなりつつある
  5. 孵化中胚盤胞(hatching) 栄養外胚葉が透明帯の外に脱出しはじめている
  6. 孵化後胚盤胞(hatched) 胚が完全に透明帯から脱出したもの

② 内細胞塊(ICM) …胎児になる細胞

  1. 細胞同士が密に接着し、細胞数が多い
  2. 細胞同士の密着が粗く、細胞数が少ない 悪い
  3. 細胞数が非常に少ない

③ 栄養外胚葉(TE)…胎盤などになる細胞

  1. 細胞数が多く、互いに密着した上皮を形成している
  2. 細胞数が少なく、結合が粗い上皮を形成している
  3. 数少ない大きな細胞が上皮を形成している
胚盤胞凍結の基準について

当院では、胚盤胞での凍結基準をグレード4BC以上としています。
胚盤胞に発育していても、初期胚盤胞やグレードCCの場合、凍結は行っておりません。

胚移植

新鮮胚移植

新鮮胚移植とは、採卵した後、数日以内に子宮へ胚を戻す方法です。同じ周期で採卵と胚移植を行うことになります。

メリット
  • 胚の凍結や融解を実施しないため、その分費用がかからない。
  • 凍結や融解など胚に一切負担をかけずに胚移植まで行うことができる。
  • 採卵後、卵子と精子を受精させ、受精卵を子宮へ戻すまでを最短で行える。採卵から胚移植をトータルで同じ周期で実施することができる。
デメリット
  • 卵巣過剰刺激症候群 (OHSS)発症リスクが高い。
  • 採卵のために排卵誘発剤を使用するため、体の状態は、自然の状態とは異なり、妊娠しやすい状態からかけ離れてしまうことが多い。(着床障害、黄体機能不全発症などのリスクがある。)
  • 凍結融解胚移植と比較すると10%程度妊娠率が低い。

※卵巣過剰刺激症候群は、不妊治療特有の副作用です。お腹が張る、卵巣が腫れる、嘔気・嘔吐、頭痛などの症状があります。OHSSで新鮮胚移植し妊娠した場合、OHSSの重症化や治療のため妊娠継続を諦めなければいけないこともあります。
※メリット・デメリットの内容及び妊娠率の差から、新鮮胚移植は積極的にはお勧めしておりません。

凍結融解胚移植

採卵した後に受精卵を凍結して、別の周期に胚を戻す方法を「凍結融解胚移植」といいます。
凍結融解胚移植の方法には、①自然排卵周期 ②ホルモン補充周期(HRT:Hormone Replacement Therapy) があります。
いずれの方法も妊娠率に差はありませんが、ホルモン補充周期の方がスケジュールを立てやすく、お仕事をされている方などにはおすすめです。

自然排卵周期移植のスケジュール例
生理開始1日目~ 自然
生理開始9日目~11日目 超音波・採血にて排卵特定し、排卵を確実に促すためにhCG注射
生理開始15日目~22日目 排卵日から、2~3日後に初期胚移植、5日後に胚盤胞移植
排卵日~胚移植12日後 プロゲステロン坐薬、hCG、デュファストンなど
ホルモン補充周期のスケジュール例
生理開始1日目~ 中止の指示があるまで エストラーナテープ
エストロゲンを補充し子宮内膜を育てます
  • 皮膚に直接貼って使用します。2日間使用したら新しいものに張替え
生理開始14日目~ 中止の指示があるまで プロゲステロン坐薬
プロゲステロンを補充し着床を助けます
  • 1日2~3回(朝・就寝前/朝・昼・夕)【膣内】に挿入
生理開始16日目~20日目 16日目~18日目に初期胚移植、19日目 or 20日目に胚盤胞移植

着床の補助医療 

GM-CSF(マクロファージコロニー刺激因子)含有培養液

GM-CSFとは女性の生殖器系全体で生産されるサイトカインのことです。
このサイトカインは受精卵と母体の着床の継続を促す情報伝達物質であることから、この培養液の使用によりサイトカイン濃度が高まり着床率を向上させ流産率を下げることが目的です。
胚培養の際においては、細胞の増殖や分化を促進し、胚の細胞数の増加を目的として使用します。 胚移植の際においては、不育症の患者にみられることがあるGM-CSFが卵管や子宮内膜で発現しないという症状に対して有効的に働きかけるとされています。

※GM-CSFは保険適用外となります。

黄体補充方法

プロゲステロンとは、排卵後に卵巣から分泌されるホルモンです。このホルモンにより子宮内膜は着床の環境を整え、妊娠を維持します。胚移植を成功させるためには、プロゲステロンをしっかり分泌させる必要があるための補充を行います。
補充の方法は、次の通り3種類ありますが、最も補充力が高く、通院も不要な ①【坐薬】を当院の基本としています。
坐薬を希望しない場合には ②【注射】や ③【経口薬】の方法にて補充を行います。

横にスクロールしてご覧いただけます

種類 ① 坐薬 ② 注射 ③ 経口薬
プロゲステロン
(黄体)補充効果
非常に高い 高い 低い
通院回数 不要 1~4回来院 不要
副作用 びらん出血・だるさ 眠気・だるさ
疼痛・炎症反応
眠気・だるさ
坐薬の使用方法

坐薬をつまみ、膣に注入します。
乾燥により挿入しづらい場合は、オリーブオイルやハンドクリームなど油分を含むものを少量つけて使用してください。

自費診療の治療方針

体外受精における不育治療対策

卵子凍結法

採卵手術にて採取された受精前の卵子を凍結する技術です。
ガラス化凍結法という方法を用いて卵子細胞にダメージを与える氷晶形成を阻害しながら、超低温(-196℃)の液体窒素内で凍結保存します。
この方法で凍結保存すると凍結時と同じ状態を半永久的に維持しながら保存できます。

ただし、受精卵に比べ、未受精の卵子細胞は細胞内の水分が多いため、ダメージを受けやすく、生存率や受精率が5%~10%程度低下します。
未婚女性の妊孕性温存などの目的の場合、自費診療にて行います。

精子凍結法

採取された精子を洗浄し、凍結保護剤と混ぜ、-196℃の液体窒素内で凍結保存する技術のことです。

人工授精や体外受精当日にご主人やパートナーの方のご都合がつかない際、前もって精子を凍結保存しておくことで治療を行うことができますが、凍結保存することにより精子の生存率が約半分まで低下してしまうため、極力当日採取された新鮮精子の使用をおすすめしています。

凍結保存期間 凍結保存期間は1年間
以後1年ごとに更新手続きをお願いしています。
凍結更新/破棄手続きについて

保存期間満了までに患者様ご自身で下記のお手続きをお願いいたします。
お手続きはご来院または郵送、振込にて承ります。

  • 更新希望の場合:凍結保存の更新依頼に関する同意書のご提出+更新費用のお支払い
  • 破棄希望の場合:凍結保存(胚・卵子・精子)の破棄に関する同意書のご提出のみ
その他

住所変更のある場合は、一度当院へ来院にてご変更のお手続きをお願いいたします。
※やむを得ず来院が困難な場合はお電話にてご相談ください。

保存期間満了後1年以内に【更新】【破棄】の手続きが確認できなかった場合は、自動的に破棄する対応をとらせて頂きますので、期限内に必ずお手続きをお願いいたします。

卵子の培養について

未熟卵子体外成熟培養

通常の場合、成熟卵に体外受精や顕微授精を行いますが、稀に未成熟卵しか得られないことがあります。
未成熟卵は体外受精や顕微授精を行っても殆ど受精しません。
そこで、未成熟卵には体外成熟培養(IVM)を行います。

未熟卵子体外成熟培養(IVM)とは

ホルモン剤などを添加した専用の培養液で1~2日間培養し、体外で成熟させる方法です。
IVMで成熟した卵子の受精能や発生能は、体内で成熟した卵子と同じです。但し、IVMを行っても成熟しない卵子もあります。
成熟したことを確認する際、卵子の周りを覆っている顆粒膜細胞を剥がすため必ず顕微授精が必要となります。(※顆粒膜細胞がついていない卵子は一般体外受精では受精しません。)
卵子が成熟した時点で顕微授精を行うため、後日精子を採取して頂くか、精子の凍結保存が必要となります。

IVMで成熟し、受精・分割した卵子は凍結保存し次以降の月経周期で融解胚移植を行います。(※子宮内膜と卵の日齢がずれるため、採卵した周期に胚移植することはできません。)

適用
  • 排卵誘発剤を使用しても体内で卵子が成熟しない場合
  • 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などで排卵誘発をしなければ卵胞発育が認められないが,排卵誘発を行うと卵巣の過剰反応によって起こる卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になってしまう方
  • 成熟卵も採卵できるが、未成熟な卵子が多数採取される方
料金 66,000円(税込)
※保険適用外の方法となりますので、本培養方法をご希望の場合は、採卵周期すべてが自費診療となります。

着床障害の補助医療

ERA(子宮内膜着床能検査)

体外受精における至適着床時期判定検査(ERA・EMMA・ALICE)

ERA(子宮内膜着床能検査)は胚移植時期に子宮内膜を採取し遺伝子解析を行うことで、着床が可能な時期つまり「着床受容期」を調べることができます 胚移植は標準的な着床受容期(排卵または膣坐薬によるプロゲステロン開始から120時間後)に合わせて行いますが、人の着床受容期はそれぞれ異なります。
標準的な着床受容期からずれが生じている場合には膣坐薬の開始を調整することで、最適な時期に胚移植を行うことができます。

ERAと同時に子宮内の着床に適した乳酸菌の割合を調べる検査(EMMA)、不妊症、不育症の原因となる慢性子宮内膜炎の細菌の有無を調べる検査(ALICE)も行えます。1回の検体採取で3項目を一緒に検査することも可能です。

検査
方法
ホルモン補充周期にて、胚移植の際と同じ子宮の状態を作ります。
黄体ホルモンの投与開始日を0日とし、5日目(胚盤胞移植実施にあたる日)に子宮内膜を採取します。
注意
事項
  • 検査を実施した周期に、胚移植は実施できません。
  • 検査結果がわかるまで3週間程度要します。
  • 検査結果によっては、再検査が必要となる場合があります。
  • 保険適用外の検査になります。

着床の補助医療

GM-CSF(マクロファージコロニー刺激因子)含有培養液

GM-CSFとは女性の生殖器系全体で生産されるサイトカインのことです。
このサイトカインは受精卵と母体の着床の継続を促す情報伝達物質であることから、この培養液の使用によりサイトカイン濃度が高まり着床率を向上させ流産率を下げることが目的です。

胚培養の際においては、細胞の増殖や分化を促進し、胚の細胞数の増加を目的として使用します。
胚移植の際においては、不育症の患者にみられることがあるGM-CSFが卵管や子宮内膜で発現しないという症状に対して有効的に働きかけるとされています。

効果 デンマークでの無作為試験において、GM-CSF含有培養液で胚を培養及び移植した患者の妊娠率が4.5%、出生率が4.8%有意に改善したという報告など妊娠率や流産率が改善されたという報告が複数あります。
適用 化学的妊娠から胎嚢確認までの間の流産を2回以上繰り返している場合、妊娠12週までの早期流産を2回以上繰り返している場合に有効です。着床失敗を繰り返している場合もご希望により適用されます。
申込
期限
  • 胚培養用:採卵周期の月経1日目~5日目の間
  • 胚移植用:胚移植周期の月経1日目~5日目の間
申込
方法
申込期限内に申込用紙を看護師にご提出ください。
申込用紙が手元にない場合は、受付又は看護師にお声がけください。
注意
事項
保険適用外の治療となるため、本培養液の使用をご希望される場合は、その周期すべての治療が自費診療となります。
また、申し込み後、採卵や移植がキャンセルとなった場合でも、返金は致しません。

生殖医療関連ページ