不育症外来 infertility-outpatient
共立産婦人科では不育症外来をもうけています。一人で悩まずに、まずはご相談ください。
不育症の検査
不育症にはさまざまな原因があります。以下は一般的な検査と治療例です。
想定される原因 | 検査 | 治療方法例 |
---|---|---|
子宮形態異常 | 子宮卵管造影 MRI、超音波 |
手術 |
ホルモン異常 | 採血検査 | 薬物治療 |
染色体異常 | 夫婦の染色体検査 | カウンセリング |
抗リン脂質抗体症候群 | 採血検査 抗PE抗体 抗カルジオリピン抗体 抗β2GPI抗体 |
アスピリン療法 または アスピリン+へパリン療法 |
血液凝固異常 | プロテインS プロテインC 第XII因子 |
アスピリン療法 または アスピリン+へパリン療法 |
同種免疫異常 | NK活性 Th1/Th2比 |
ステロイドホルモン |
ストレス | 問診 | カウンセリング 薬物治療(漢方薬) |
不育症の治療
バイアスピリンによる治療
「抗リン脂質抗体」とよばれる自己抗体により引き起こされる、抗リン脂質抗体症候群や血液凝固異常の方に対して、解熱鎮痛剤として汎用されているアスピリンを低用量(40~100mg/日)使用します。(当院では低用量アスピリンとしてバイアスピリンを使用します。保険適用外)
アスピリンの抗凝固作用があり心筋梗塞や脳梗塞といった患者さんの血栓予防に使用されています。 抗リン脂質抗体症候群や血液凝固機能異常の不育症の患者さんは、心筋梗塞や脳梗塞の患者さんほど多くは無いため大規模な調査結果がなく、不育症に対するアスピリンの効果が科学的に立証されているとはまだいえませんが、1980年代後半には、抗リン脂質抗体症候群による流産を繰り返している妊婦さんに低用量アスピリン服用の効果があると報告されています。
副作用が少ないということや実際に抗リン脂質抗体症候群で有効であるという報告は多く、特にヘパリンとの併用で有効性が実証されていることなどから、当院では低用量アスピリン療法を取り入れています。
治療方法
排卵後の高温期に入った時点から低用量アスピリン服用を開始し、妊娠28~35週まで継続します。
注意点
以下の方は服用できません
- 本剤の成分又はサリチル酸系製剤に対し過敏症の既往歴のある方
- 消化性潰瘍のある方
- 出血傾向のある方
- 重篤な血液の異常のある方
- アスピリン喘息又はその既往歴のある方
ヘパリンによる治療
抗リン脂質抗体症候群では、血栓ができやすく、絨毛の発育が阻害され流産や死産が起こるといわれています。また、血栓ができやすい体質(血栓性素因)の人も同様と言えます。
こうした原因の方を対象に、妊娠予後の改善を目的とした「低用量アスピリンとヘパリンの併用療法」を行っています。
治療方法
排卵後、高温期に入った時点で低用量アスピリンの連日服用(バイアスピリン100mg/日またはバファリン81mg/日)を開始し妊娠28もしくは35週まで継続します。
超音波診断にて子宮内妊娠が確認された時点より ヘパリンカルシウム5000単位×2回/日 皮下注射)を開始します。
副作用等の注意点
ショック・アナフィラキシー様症状
ショック、アナフィラキシー様症状が起こることがあるので、観察を十分に行い、血圧低下、意識低下、呼吸困難、チアノーゼ、蕁麻疹等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行います。
出血
脳出血、消化管出血、肺出血、硬膜外血腫、後腹膜血腫、腹腔内出血、術後出血、刺入部出血等重篤な出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤を減量又は中止し、適切な処置が必要となります。
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)
ヘパリン投与後に著しい血小板減少が現れるヘパリン起因性血小板減少症(HIT)といわれる副作用があります。これを疑う症状を認めた場合には、投与を中止し、適切な処置を行います。
その他
一過性に肝酵素(AST、ALTなど)が上昇することがあります。多くは投与開始後1カ月ほどで落ち着きます。 副作用は一旦起これば大事に至ることがあるので、症状への注意は必要です。また、ヘパリン治療中は血液凝固系検査による十分なモニタリングを行います。
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